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賃貸住宅管理業とは?


※本稿はなるべく分かり易く表現する為に法律用語を噛み砕いて記載されております。
そのため、法令上の本来意味と厳密には異なる文言も御座いますが予めご了承下さい。





1.なぜ賃貸住宅管理業の登録制度ができたのか。

 数年前から、敷金返還のトラブルや更新料をめぐる裁判並びに保証金の返還など、賃貸物件にまつわる数々の諸問題が多く取りざたされるようになりました。また、家賃の滞納者に対して部屋のカギを換えてしまったり、張り紙を張ることによって近隣住民にあえて滞納者であることを知らせるなどといった嫌がらせ、強引な取立てなども問題視されています。建物あるいは部屋の賃貸業全体に対していわゆる業者の質が問われる時代となりました。これには、「管理」について明確な法令がないため、解釈の争いなどが生じており、この点も各種のトラブルの根底にあるものと考えられます。そこで国土交通省が新たに賃貸住宅管理業者を登録制にして明確なルールを義務づけることで、入居者あるいは借主と大家あるいはオーナー、管理会社それぞれのトラブル発生を未然に防ぐための制度を創設したのです。この
平成23年12月1日から登録することができる本制度によって、借主・貸主・管理業者の信頼関係が構築されることで、紛争の発生を未然に防ぐことができるほか、適切な管理を行う事業者が評価されることにより、賃貸住宅管理業の健全な発展に寄与することが期待されています。




2.賃貸住宅管理業とは?

賃貸住宅管理業は平成23年12月1日から登録することができるようになりました。
 賃貸住宅管理業とは管理受託(貸主から委託を受けて賃貸住宅の管理を行う事業)・サブリース(賃貸住宅を転貸し、貸主として管理を行う事業)を指します。賃貸住宅管理業には3つの基幹事務があります。@家賃、敷金等の受領事務A賃貸借契約更新事務B賃貸借契約終了事務です。この記載は国土交通省が示していますが、これではイメージしずらいですのでさらに具体的にみていきます。 入居者募集・入居者選定・賃貸借契約締結・鍵の引渡し・賃料の徴収(共益費の取立)・共益費用の支払い代行・敷金(保証金)の授受・差し入れ敷金の受領及び退去者への返還・契約更新や・改定業務・契約更新賃貸条件の改定・解約業務・敷金精算原状回復業務・入居者管理・入退去立会い・賃料不払い者への督促・長期不在者への対応・苦情処理・有害行為に対する措置・近隣・町内への対応・防火や防災・鍵の保管・緊急時応急措置・建物内の清掃や敷地内の除草や植栽・建物や付随設備及び敷地の管理・定期巡回点検・保全や補修などが挙げられます。この基幹業務に付随して賃料収入保証・満室保証(新築後一定期間空室損)・滞納保証(延滞賃料・不払い賃料代払)・空室保証(満室保証経過後空室損)・一括保証(約定保証賃料の定時払)・敷金(保証金)の授受・差し入れ敷金の受領及び退去者への変換などのサービス業務、さらには損害保険の取次や行政書士や弁護士、税理士などの専門家の紹介や生活用品の販売・斡旋なども考えられます。




3.賃貸住宅管理業の登録の概要と登録するメリット・デメリット

@賃貸住宅管理業登録の概要
 管理受託・サブリースを行う個人・法人を問わず登録することができます。賃貸住宅管理業の登録の有効期間は5年間です。なお、有効期間満了後引き続き業を営もうとする者は、その有効期間が満了する日の90日前から30日前までに登録の更新申請を行うことが必要です。大家さんが賃貸住宅を自主管理する場合は登録の対象外です。また、駐車場やビルの賃貸管理業務も対象外です(ただし、賃貸住宅に付属する駐車場は対象。)。宅地建物取引業者でなくとも登録を受けることができますが、宅地建物取引業者やマンション管理業者の方が登録申請する場合は、申請時の添付書類が簡素化されます。

A賃貸住宅管理業の登録をすることによって生ずるデメリット
 まず、業務状況・財産分別管理状況報告書を毎事業年度終了後3ヶ月以内に国土交通省に報告する必要があることが挙げられます。1年に1回は国土交通省へ報告する必要があるということです。また、5年に1度の更新が必要となり、契約や管理対象についての重要事項説明や書面の交付などの業務負担がデメリットとして挙げられます。

B賃貸住宅管理業の登録をすることによって生ずるメリット
 登録を受けた事業者名は公開されるため、その業者が賃貸住宅の管理業務に関し、一定のルールに沿って重要事項の説明や書面交付、受領家賃など財産の分別管理を適切に行っていることなどが一般に明らかになります。借主などは、こうした情報を物件選択や管理業者との契約の判断に活用することが可能となるので、登録を受けていない業者と登録を受けている業者とで比較されることとなると想定されます。その点、登録業者は登録されていない業者よりも優位となると考えられます。また、登録を受けることで一種の国のお墨付きを得られると考えれば借主やオーナー、大家にアピールできるポイントとなるでしょう。なお、国土交通省建設産業・不動産業の中の賃貸住宅管理業者一覧のHPに登録業者が掲載されています。
現在のところ(2012.01.20)登録にかかる審査手数料が無料ですので、ほとんど登録にかかる費用がかからない点が大きなメリットです。今後、審査手数料が有料となるのか無料のままなのか不明ですので、この無料機会に登録をする業者の方が増えています。




4.今後の賃貸住宅管理業
 先にも触れましたとおり、「賃貸管理」について業者に対する明確な法令がないため、様々な問題が存在します。これを国土交通省が先陣を切って登録制にすることで業者に目を光らせて紛争を未然に防ぐことが期待されています。この登録制度はまだ始まったばかりですので、今後、賃貸管理に関する法制度化がなされますと宅地建物取引業や建設業などのように登録制から免許制あるいは許可制に移行しましたり、宅地建物取引主任者のように、必須人的要件や審査手数料の有料化などが加わる可能性も将来は無きにしも非ずといえます。また、現在、賃貸住宅管理業は任意登録ですが、登録の義務化がなされる可能性も大いに含まれています過去の例としてマンション管理適正化法によって、それまで任意登録だったマンション管理業者の登録が義務化されたことが挙げられます。
また、建設業が免許制から許可制になった例でも分かりますとおり、往々にして法制度は年々厳格に運用されることがほとんどであることを特記しておきたいと思います。