1.国家資格者
行政書士は、行政書士法(昭和26年2月22日法律第4号)に基づく国家資格者です。
特定行政書士は、行政書士の中で一定の研修を受け、さらに試験に合格した行政書士のみが「官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続き」を代理することができる国家資格です。
2.特定行政書士業務
お客様の依頼により、報酬を得て、埼玉県などの県庁や市役所・警察署・公証役場・法務大臣・陸運支局・財務局・文化庁・保健所などの官公署に提出する許認可等の申請書類の作成や提出手続代理・相談を行います。
また、遺産分割協議書、会社議事録、内容証明郵便、会計記帳、契約書面、告訴告発状(警察署への提出に限る)等の権利義務、事実証明の書類とその相談、これらの民事法務手続きなどを行います。さらに、特定行政書士は行政書士が作成した書類によって許認可が出ない場合に、審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続きまで行うことができます。
3.行政書士制度
行政書士が、官公署に提出する書類等を正確・迅速に作ることにより、国民皆様においてその生活上の諸権利・諸利益が守られ、また、行政においても、提出された書類が正確・明瞭に記載されていることにより、効率的な処理が確保されるという公共的利益があることから、行政書士制度が必要であり、これが行政書士の存在目的だと言われています。
4.特定行政書士の使命と責任
行政書士の業務は、過去の依頼された通りの書類作成を行ういわゆる代書的業務から、複雑多様なコンサルティングを含む許認可手続きの業務へと移行してきており、高度情報通信社会における行政手続きの専門家としての役割が求められてきています。また、行政書士は業務において知った秘密を他に漏らしてはいけない旨規定されています。この秘守義務に違反した場合はその行政書士は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課される事となります(行政書士法12条・22条)。この規定の例が指し示すように行政書士には様々な情報を扱うため、その社会的役割や倫理使命、それを守る重大な責任があります。また、特定行政書士は一般の行政書士では扱えない紛争案件を扱うため、さらに高度な職業倫理やクライアントとの信頼関係の構築などが求められるとされます。
5.行政書士の未来
全体的に行政書士は「書類作成のプロ」として許認可などの官公署へ提出する書類作成を独占業務として行っておりました。近年は離婚の増加や高齢化、悪徳商法に伴い離婚協議書や遺産分割協議書また、成年後見契約に関することや内容証明郵便の作成手続きの社会的要請が増加いたしました。時代の変化によって行政書士の扱う業務内容も少しずつ民事法務手続きが多くなりました。しかしながら、行政書士の本来的な業務である行政手続・許認可業務と行政書士の社会的役割は今後も変わらないものと考えられています。
|