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内容証明(内容証明郵便)とは?


※本稿はなるべく分かり易く表現する為に法律用語を噛み砕いて記載されております。
そのため、法令上の本来意味と厳密には異なる文言も御座いますが予めご了承下さい。




1.内容証明(内容証明郵便)の意味
 一般的に内容証明郵便のことは内容証明と呼ばれています。郵便法では第44条と第48条等(最下記に条文を掲げておりますのでご参照ください。)において内容証明について定めています。これによると内容証明は郵便事業者が文書の内容を証明する郵便物とされます。つまり、何年何月何日に誰から誰あてに、どのような内容の文書が差し出されたかを、差出人が作成した文書の謄本によって郵便事業者が証明するということです。
したがって、まとめると内容証明を出すことによって次の5点を郵便局が公的に証明してくれるということとなります。
@差出人
A発信したこと
B発信した日付
C発信の宛先
D文書の内容




2.配達証明とは?
 上記1.で記載した通り、内容証明では発信したことは証明してくれますが、配達された事実や配達日付は証明しません。ここで、内容証明と併せて配達証明を組み合わせることをしばしば行います。配達証明は郵便法第47条等に規定されており、これによると配達証明とは郵便事業者が郵便物を配達し、又は交付した事実を証明するものとされています。つまり、配達証明は郵便物が確かに配達されたという事実を差出人に証明する郵便局のサービスということとなります。
したがって、まとめると配達証明を出すことによって次の2点を郵便局が公的に証明してくれるということとなります。
@宛先に郵便物が到達したこと
A相手方が郵便物を受け取った日付




3.内容証明(内容証明郵便)の効果とメリット
 普通の一般郵便で相手方に郵送する場合と内容証明郵便で相手方に郵送する場合において下記のメリットが一般的にあるといわれています。

@証拠証明や確かな法的効果を得られる
 例えば契約の解除や取り消し、クーリングオフ、消滅時効の中断請求をする場合に口頭や一般の郵便での意思表示では基本的に証拠が残りません。そこで内容証明を用いることによって証拠の保全が図られるのです。解除や取り消し、クーリングオフは一方的な意思表示で法的効果を得られますが、確かに意思表示をしたことを内容証明によって証拠保全することによって法的効果を確かなものとする一種の法的効果の補充的役割があります。なお、内容証明で消滅時効の中断を請求する場合は相手方に到達してから6か月以内に裁判上の請求などの方法を取らなければ時効中断となりません(民法153条・147条)。

A確定日付を得られる
 例えばAさんがBさんにお金を貸した場合、特段AさんとBさんとの間で取り決めがないとすると、Aさんは貸したお金を返してもらう権利をCさんに転売することができます。これを債権譲渡と呼びます。債権譲渡がされるとCさんはBさんに支払ってもらえる権利を得ます。しかし、AさんがDさんにもこの権利を譲渡してしまったとするとCさん・Dさん両方がBさんに支払ってくれ、となってしまいます。そこで内容証明で得られた確定日付の前後によって真の権利者が誰なのかはっきりすることとなります。これによってBさんは安心してCさんまたはDさんいずれかに支払えば良く、Cさんないし、DさんいずれかはBさんに支払ってもらえ、支払ってもらえない一方はAさんに損害賠償を請求することできるようになります。

B心理的圧力をかけることができる
 内容証明の効果で要といわれているものです。内容証明郵便を相手方に送付することで差出人の真剣さや強い意思を伝えることとなります。一般的に相手方も内容証明を受け取ることはあまり気分の良いものではないでしょう。それだけ最終通告の意味合いが含まれた文言を記載されることが多いのが内容証明です。

C費用が安価である
 内容証明郵便は郵便局(多くは本局)で1,500円程度で安価に郵送することができます。債権の回収手段には様々な方法がありますが、裁判手続きで債権回収をするとなると労力や費用が内容証明と比べて格段に多くなります。




4.内容証明(内容証明郵便)のデメリット
 内容証明にはメリットが多数ありますが逆に下記のようなデメリットの可能性があります。

@終局的な解決とならない可能性がある
 内容証明を送付すると何らかの相手方からのアクションや連絡があり、話し合いや契約を新たに結び直すなど、円満に解決されるケースがしばしばあります。しかし、内容証明を郵送しても全くをもって無視をされ続けたり、相手方が争うこともあります。そうなると内容証明だけでは最終的な解決ができないこととなります。この場合は一歩進んだ終局的な解決手続きが別途必要となります。

A相手方に有利に生じる場合がある
 内容証明を受け取った相手方が即座に財産を移転させる場合があります。また、逆に内容証明の文言によっては相手方に証拠を与えてしまうこともあります。つまり、事実ではないことを差出人のほうから相手方が言っていることは事実です等と認めてしまう内容の文書を記載してしまうなどの場合です。また、差出人に対して不利なことを文言に記載してしまうことなどです。

B脅迫罪・恐喝罪等の刑事事件になる場合がある
 強い文言や脅迫のような文言を用いて内容証明を郵送すると相手方が差出人に対して逆に刑事告訴を行う場合がありますので文言には十分注意する必要があります。また、刑事告訴だけではなく、精神的苦痛など不法行為による賠償請求などの民事訴訟を提起され、逆に訴えられてしまう場合があります。

B相手方の態度が硬化する可能性がある
 最も問題となるのが内容証明を受け取った相手方が文言の内容や内容証明自体を受け取ったことによって引くに引けなくなってしまう状態となってしまったり、憤慨してしまうことです。そもそも払うつもりだったけれどたまたま手持ちがなかったので差出人にちょうど連絡をしようとしていた場合、そんな時に突然差出人から内容証明が届いたら不快な思いをするでしょう。本来話し合いで解決できる案件が内容証明を送付したために、かえって関係がこじれてしまうこともしばしばありますので、相手との関係性や相手の気性、性格、立場など十分に留意する必要があります。

C書式や使用文字が限定されている
 紙媒体の謄本は縦書きの場合、1行20字以内、1枚26行以内で記載しなければなりません。また、横書きの場合は1行20字以内、1枚26行以内または1行13字以内、1枚40行以内または1行26字以内、1枚20行以内でなくてはなりません。また、2枚以上となる場合は契印が必要であったり、訂正する場合も定まった方法で文字を訂正しなくてはなりません。使用文字では、固有名詞の英字のみ英字を使用できるなど細かく規定されていますので注意が必要です。詳細は日本郵便の「内容証明の謄本の作成方法等を教えてください。」(URL:
http://www.post.japanpost.jp/question/77.html)に記載されています。




5.内容証明(内容証明郵便)を打った後の手続き
 内容証明郵便を送付した後の手続きは相手方の反応によって異なります。一般的に内容証明で請求などの証拠固めを行った後、相手方から話し合いを希望する提案の連絡があった場合は、話し合いの上、双方が納得できる内容で新たに契約を締結したり、公正証書を作成するなどの方法などによって円満に解決するのが最も好ましいといえます。しかしながら、相手が全くをもって無視をする場合、相手が憤慨して訴訟を提起する場合、行方をくらます場合はさらに一歩進んだ手続きは必要となります。何としても債権を回収したい場合はさらに支払督促、少額訴訟、通常訴訟などを裁判所に提起して判決を得てから執行手続きを行うこととなります。ここで注意を要するのは財産の全く無い相手方からは訴訟で勝訴しても債権の回収は見込めないことです。すなわち、財産がある相手方の存在が重要といえます。また、訴訟には多大な労力や神経、費用が掛かります。一般的に、勢いに任せて訴訟を提起するのも、その方の思いですので良いですが、一度冷静に落ち着いて考えて粛々と手続きを行うことが良いとされます。





【郵便法参考条文】

第44条 (特殊取扱)
会社は、この節に定めるところによるほか、郵便約款の定めるところにより、書留、引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の郵便物の特殊取扱を実施する。
2  会社は、前項の規定によるほか、郵便約款の定めるところにより、郵便物の代金引換(差出人が指定した額の金銭と引換えに名あて人に交付し、その額に相当する金額を当該差出人に支払う取扱いをいう。第五十条第一項第二号及び第二項第四号において同じ。)その他の郵便物の特殊取扱を実施することができる。
3  引受時刻証明、配達証明、内容証明及び特別送達の取扱いは、書留とする郵便物につき、これをするものとする。

第45条 (書留)
書留の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物の引受けから配達に至るまでの記録をし、もし、送達の途中において当該郵便物を亡失し、又はき損した場合には、差出しの際差出人から会社に申出のあつた損害要償額の全部又は一部を賠償する。
2  前項の損害要償額は、郵便物の内容である現金の額(その内容が現金以外の物であるときは、その物の時価)を超えない額であつて郵便約款の定める額を超えないものでなければならない。
3  差出人が第一項の損害要償額の申出をしなかつたときは、同項の規定の適用については、郵便約款の定める額を損害要償額として申し出たものとみなす。
4  会社は、第一項の規定によるもののほか、次に掲げる郵便物以外の郵便物につき、差出人からの申出があるときは、当該郵便物の引受け及び配達について記録し、もし、送達の途中において当該郵便物を亡失し、又はき損した場合には、郵便約款の定める額を限度とする実損額を賠償する書留の取扱いをすることができる。
一  現金又は第十七条に規定する貴重品を内容とする郵便物
二  引受時刻証明、配達証明、内容証明又は特別送達の取扱いをする郵便物

第46条 (引受時刻証明)
引受時刻証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物を引き受けた時刻を証明する。

第47条 (配達証明)
配達証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物を配達し、又は交付した事実を証明する。

第48条 (内容証明)
内容証明の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物の内容である文書の内容を証明する。
2  前項の取扱いにおいては、郵便認証司による第五十八条第一号の認証を受けるものとする。

第49条 (特別送達)
特別送達の取扱いにおいては、会社において、当該郵便物を民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第百三条 から第百六条 まで及び第百九条 に掲げる方法により、送達し、その送達の事実を証明する。
2  前項の取扱いにおいては、郵便認証司による第五十八条第二号の認証を受けるものとする。
3  特別送達の取扱いは、法律の規定に基づいて民事訴訟法第百三条 から第百六条 まで及び第百九条 に掲げる方法により送達すべき書類を内容とする郵便物につき、これをするものとする。